工作で見本と違うと作り直す子へ|放デイで相談したい「試作」の進め方

工作は好きなのに、見本と少し違うだけで「もうだめ」と最初から作り直してしまう。放課後等デイサービスで、どこまで本人の希望を尊重し、どんな支援を頼めばよいか迷うことはありませんか。

相談したいのは、作り直しを一律に止めることではなく、見本の示し方や材料を調整し、「一部分を試してから決める」進め方を用意できるかです。完成を急がせず、本人が変えたいところと残したいところを選べる活動を考えます。

この記事では、さいたま市周辺で放デイを検討・利用している保護者に向けて、工作の作り直しに絞った調整案を紹介します。以下の具体例は、支援を相談するための仮の例であり、FabriCoの実際の利用事例や効果を示すものではありません。

「作り直すのをやめる」より、何に困っているかを確かめる

まず、本人が納得して作り直しを楽しんでいるのか、直したくても方法が分からず苦しくなっているのかを分けて考えます。同じ「最初からやる」でも、支援として相談したい内容は異なります。

こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドラインでは、こどもの発達や特性、個別のニーズを把握した上で支援を組み立てる考え方が示されています。作り直すという行動だけで理由を決めず、活動のどこに負担があるかを見ることが出発点です。放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)

職員には、次のような点を確かめてもらうと、調整案を選びやすくなります。

  • 見本の何と違ったときに、手が止まったのか。
  • 本人は同じ形にしたいのか、「違ってもよい」と分からず迷っているのか。
  • 直したい場所を指さしたり、選んだりできるか。
  • 作り直した後は満足しているか、それともさらに困っているか。

例えば「車輪の位置がずれた後、台紙ごと取り替えた」という場面なら、「こだわりが強い」で終えず、車輪だけを交換する方法を知っていたか、貼り直せる材料だったかを確認します。性格を評価するより、次の活動で変えられる条件を探すための問いです。

見本はなくす?残す?本人が使いやすい示し方を比べる

見本をなくすことだけが選択肢ではありません。「何を作るのか分かるように置く」と「そっくりに仕上げる基準にする」を分けて、見せ方を相談してみましょう。

以下は、放デイに提案できる調整案です。どれが合うかは、本人の希望や活動中の様子を見て判断します。

見本の示し方 相談したい場面 職員と確かめること
完成見本を手元に残す 本人が同じ形を目指して作りたい 合わせたい部分を本人が選び、必要な作り方を教えてもらえるか
形や色の異なる作例を並べる どこを変えてよいか迷っている 共通する作り方と、自由に変えられる部分が伝わるか
途中の工程だけを見せる 完成形との比較で作業が止まる 今取り組む部分が分かり、次へ進めるか
必要なときだけ見本を見る 自分の案を形にしたい 本人が見たいときに確認できるか

「自由に作っていいよ」と伝えるだけでなく、「土台の作り方は同じ。屋根の色は選べる」のように、今回の活動で決まっていることと選べることを具体化する案もあります。

見本を見たいという希望まで取り上げる必要はありません。ガイドラインも、こどもの意見を聴きながら自己選択や自己決定を促すことを重視しています。見本を使うかどうかも、本人と確かめる対象にしましょう。ガイドラインの「本人支援」「基本活動」を参照

「試作」は、作品全体をやり直さずに確かめるための選択肢

ここでいう試作とは、本番の作品とは別の材料などで、一部分の形や作り方を確かめることです。必ず取り入れる訓練ではなく、本人が希望するときの活動案として扱います。

接着する前に、置いて比べる

例えば、紙の家の窓を貼る場面なら、最初から接着せず、窓の部品を台紙に置いて位置を比べる方法を相談できます。「この位置で貼る」「動かす」「今日は決めない」から、本人が選べるようにします。

貼り直しやすい材料を使えるかも確認事項です。用具や材料の安全性、費用、活動の目的によって対応は異なるため、希望すれば必ず用意されるとは限りません。

気になる部分だけ、別の紙で試す

屋根の折り方が気になるなら、家全体ではなく屋根だけを端紙で試す案があります。大人が「全部やり直さなくていい」と説得する代わりに、残せる部分と試せる部分を目に見える形にします。

ただし、本人が全体を作り直したいと選ぶこともあります。試作を選ばせること自体を目標にせず、ほかの選択肢も知った上で決められるようにしたいところです。

試作品を残すかどうかも確かめる

「比べるために取っておこう」と大人が決めず、「残す・持ち帰る・処分する」を本人に確認します。言葉で選びにくい場合は、実物や置き場所を示す方法も相談できます。

こども家庭庁の意思尊重の手引きでは、言葉だけでなく、表情や行動などからも意思を丁寧にくみ取ることが示されています。黙っていることを、試作や保存への同意と決めつけないようにします。こどもの意思の尊重・最善の利益の優先考慮の手引き

放デイへ持参できる「試作の相談シート」

見学や利用中の面談では、次の項目を使って、ひとつの工作場面を伝えてみてください。すべて埋める必要はなく、本人に聞いていないことは「未確認」とします。

  • 作っていたもの:何の活動だったか。
  • 作り直したきっかけ:形・色・位置など、見本とどこが違ったか。
  • 本人が伝えたこと:実際の言葉や指さし。理由の推測とは分ける。
  • 今回相談したい変更:見本の示し方、接着前の仮置き、部分的な試作など。
  • 選べるままにしたいこと:同じものを目指す、作り直す、休むなど。
  • 活動後に確かめたいこと:本人が納得して選べたか、どこがまだ困ったか。

伝え方の例は、「見本と窓の位置が違うと、家全体を作り直します。同じ位置にしたい気持ちは大切にしながら、貼る前に位置を試せるようにできますか」です。

一度に多くの条件を変えるより、最初に何を試すかを職員と決めておくと、次に話し合う内容が明確になります。見本を変える案と材料を変える案のどちらから始めるか、本人の希望も含めて相談しましょう。

活動後は「完成したか」以外の点も確かめる

ガイドラインでは、多様な遊びや体験活動に、挑戦や失敗も含めることが示されています。作品の出来だけでなく、その過程をどう支えたかも確認したい点です。ガイドラインの「多様な遊びや体験活動」を参照

例えば、「気になる場所を職員に示せた」「仮置きした後で位置を決めた」「作り直す案と部分を直す案を比べた」といった様子を共有してもらう案があります。これは、完成しなかった日を無条件によいと評価するためではなく、本人に合う進め方が見つかったかを確かめるためです。

反対に、試作を勧められること自体を嫌がったなら、その案はいったん外して構いません。つらそうな状態で「失敗に慣れる練習」を続けるのではなく、活動の難しさや見本の使い方を職員と改めて検討します。

よくある質問(FAQ)

見本と同じものを作りたい希望は変えたほうがよいですか?

同じものを作りたいという希望そのものを、変更の対象にする必要はありません。本人が目指す形を確認し、そのために必要な工程の説明や、部分的に直せる材料を相談しましょう。

試作用の材料を用意しても、使いたがりません。

使わせることを目標にしないでください。本番の作品で進める、職員の試作を見る、仮置きだけ行うなど、本人が選べる案を相談します。どの案も嫌なら、提案の仕方や活動内容から見直します。

作り直しが続いた日は、完成させてもらうべきですか?

完成を優先するかは、本人の希望や疲れ具合、活動の目的を踏まえて話し合う事項です。大人が仕上げることを当然にせず、どこまで進めたいか、何を手伝ってほしいかを確かめてもらいましょう。

見学で、このような調整ができるか分かりますか?

一度の見学だけで継続的な対応まで判断するのは難しいため、相談シートの場面を具体的に伝えてください。「試作できますか」だけでなく、本人が試作を断った場合や、見本どおりを希望した場合にどう進めるかまで聞くと、支援の考え方を確かめられます。

FabriCoの見学では、作り直しが起きる場面をお聞かせください

FabriCoは、工作やロボット・プログラミングなどのものづくり活動と、一人ひとりのペースや興味に合わせた支援を案内しています。活動内容や方針はFabriCo公式サイトで確認できます。

本記事で紹介した材料や試作方法を、すべて実施しているかは公開情報だけでは確認できません。見学では、「何を作ったとき、どの違いが気になったか」をお伝えください。見本の示し方や作り直しの扱いについて、対応できる範囲を一緒に確認しましょう。

FabriCoへの相談・見学と施設の利用方法はこちら

参考にした情報

関連する記事

“工作で見本と違うと作り直す子へ|放デイで相談したい「試作」の進め方” への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です