板書を写すのがつらい子、撮影は頼める?|保育所等訪問支援で学校と決める使い方

「黒板を写すだけで授業が終わってしまう。タブレットで撮らせてもらえないかな」と迷っていませんか。板書の撮影は、学校に相談できる配慮の選択肢です。文部科学省が公開する山口県の資料にも、本人の希望を踏まえて使用する教科や場面を協議する記載例があります。文部科学省公開資料「合理的配慮」検討シートの記載例

ただし、その例があることと、通っている学校で同じ運用ができることは別です。この記事では、保育所等訪問支援で授業中の困り方を確かめ、学校と「いつ、何を撮り、どう使うか」を決める方法に絞って紹介します。

撮影を頼む前に、「何に間に合わないか」を確かめる

学校へ伝えるときは、「書くのが遅いので撮影したい」だけで終わらせず、書き写すことで何が難しくなっているかを添えましょう。次は、相談内容を整理するための仮の例です。

  • 黒板とノートを見比べるうちに、写していた場所が分からなくなる。
  • 文字は写せるが、その間の先生の説明を聞き逃してしまう。
  • 黒板が消される前に書き終わらず、その後の問題に取りかかれない。
  • 授業中は理解していても、ノートが途中なので家で振り返れない。

この段階で原因を決める必要はありません。「国語の説明中」「算数で図を写すとき」など、実際に困った場面を一つ選び、本人の言葉とノートの状態を照らし合わせてください。

目標も具体的にします。「きれいなノートを完成させる」ではなく、「説明を聞き、問題に取りかかれるようにする」などです。撮影を認めてもらうこと自体をゴールにしないのが大切です。

保育所等訪問支援には、授業のどこを見てもらう?

保育所等訪問支援は、本人への支援に加え、訪問先の職員との連携や環境調整を進めるための支援です。学校との共通理解のもとで行うことが、こども家庭庁のガイドラインに示されています。撮影の許可だけを代わりに取りに行くものとは考えず、授業に参加しやすい条件を一緒に探すために活用しましょう。こども家庭庁「保育所等訪問支援ガイドライン」

訪問支援員には、たとえば次のように依頼すると、確かめたい点が伝わります。

板書を写している間に説明が進み、問題に取りかかれないようです。写し始める場面から次の活動へ移るまで、どこで負担が大きくなるかを先生と確認してほしいです。

その際は、黒板の文字だけでなく、先生が話すタイミング、教材を開く動作、ノートを探す時間にも目を向ける案があります。「撮影なら解決する」と先に決めず、撮影操作を加えた場合にも授業へ戻れそうかを検討してください。

学校内の配慮を相談するために、訪問支援の利用開始まで待つ必要はありません。担任へ困りごとを伝えたうえで、訪問支援を利用している場合は、その支援の中でも何を確かめられるか相談するとよいでしょう。

写真に撮る方法と、写す量を減らす方法を比べる

以下は、本人と学校が候補を比べるための提案です。学校で使える教材や端末の設定を確認し、実施できる方法を選びます。

試す方法 検討したい場面 一緒に確認すること
板書を撮影する 図や配置を含めて、後から見返したい 画像から必要な箇所を探し、読めるか
重要語句だけ書く すべてを写すことで説明を聞けなくなる どこを書けばよいか、本人に分かるか
板書内容のプリントやデータを受け取る 撮影の操作や画像整理も負担になりそう 先生が提供できる資料と時期
枠や図が入った用紙を使う 図や表を一から写す部分で止まる 本人が書き加える範囲と提出方法

「撮影か、手書きか」の二択にする必要はありません。文部科学省公開資料の記載例でも、撮影する場面を協議することと、実態に応じた書字の指導を続けることが併記されています。撮影と書字の指導を組み合わせた記載例

たとえば、内容を理解する授業では記録の負担を減らし、文字の形を学ぶ場面では書く範囲を別に相談する、と分けて考える案があります。

学校と共有する「板書撮影の試行シート」

次のシートは、本記事で提案する話し合い用のひな型です。正式な申請書ではありません。空欄を保護者だけで埋め切らず、本人・学校・訪問支援員で相談する項目として使ってください。

決める項目 記入・相談の例
撮影する目的 板書に追われず、説明を聞いて問題に取りかかるため
試す教科・場面 まずは、本人が特に困っている教科の板書場面
使う端末と操作する人 学校で使用可能な端末を確認。本人が難しい場合の補助も相談
撮る対象とタイミング 必要な板書部分を、先生と決めた合図や時間に撮る
写り込みへの対応 ほかの児童や氏名等が入らない位置・範囲を相談
保存先・閲覧する人 学校指定の保存先、家庭での閲覧可否、共有しない範囲を確認
ノート・提出物の扱い 写真で代える部分と、書いて提出する部分を分ける
振り返る日と見る点 日を決め、説明を聞けたか、課題に着手できたかを確認

特に先に決めたいのは、写真を撮った後の扱いです。「撮影してよいが、帰宅後にすべてノートへ写す」という案になったら、授業中の負担だけでなく、家庭の負担も含めて目的に合うか確かめましょう。

家庭への持ち帰り、クラウド保存、画像の削除時期について、本記事では各校の運用を確認できていません。利用する端末の設定と学校の方針に沿って、個別に確認してください。

試した後は、ノートの量より授業への戻りやすさを見る

振り返りには、「撮影できた・できなかった」だけでなく、次の問いを使うことを提案します。

  • 撮影した後、先生の説明や課題へ戻れたか。
  • 必要な写真を本人が見つけ、内容を確認できたか。
  • 撮影のために席を移るなど、新しい負担が生じていないか。
  • 家庭での写し直しや画像整理が増えていないか。

合わなかった場合は、本人の努力不足とせず、撮影範囲を狭める、資料を受け取る方法に替えるなど、前の比較表に戻って検討してください。

保育所等訪問支援のガイドラインでは、訪問先への支援内容のフィードバックと、保護者への報告が位置づけられています。板書撮影を試す場合も、訪問時に何を確かめ、学校と何を共有したかを報告してもらうと、次の調整を話し合いやすくなります。ガイドラインの訪問先への報告・保護者への報告

よくある質問(FAQ)

学校のタブレットがあれば、そのまま板書を撮ってよいですか?

端末があることだけで判断せず、事前に使用場面を学校と確認してください。文部科学省公開資料の記載例も、使用する教科や場面を本人の希望を踏まえて校内で協議する形です。板書撮影の使用場面を協議する記載例

本人が「自分だけ撮るのは嫌」と言ったら?

撮影を進める前に、どの部分が嫌なのかを確かめましょう。端末を構えること、友達に質問されることなど、気になる点に応じて別の方法を比べてください。周囲への説明も、本人に何を伝えてよいか確認してから学校と相談する案があります。

撮った写真を放課後等デイサービスに送ってもよいですか?

撮影の許可と、学校外への共有は分けて確認してください。学校に共有目的・相手・送信方法を伝え、本人の希望も確かめましょう。画像を送らず、「図のある板書で困った」と状況だけ伝える方法も検討できます。

訪問支援員に見てもらう日に、困る授業がなかったら?

その日の様子だけで撮影の要否を決めず、本人の説明、学校が把握している様子、該当するノートを持ち寄ることを提案します。追加で授業場面を確認できるかは、学校と事業所の日程を相談してください。

FabriCoへ、授業中の困り方から相談する

FabriCoは、ロボット・プログラミングや工作などのものづくり活動、個別の学習支援、保育所等訪問支援を案内しています。FabriCoの活動・支援内容 ただし、ICTを使った活動があることと、学校で板書撮影が認められることは別です。

さいたま市周辺で利用を検討している方は、「板書を写している間に、何に参加できなくなるか」を具体的にお伝えください。通所で確認できることと、学校との連携が必要なことを分け、対応できる支援や見学について確認しましょう。

FabriCoへの相談・見学について、施設の利用方法を確認する

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