避難訓練のサイレンが怖い子へ|保育所等訪問支援で学校と考える参加方法

「避難訓練のサイレンが鳴ると、耳をふさいで動けなくなる」「訓練の日と知るだけで登校を嫌がる」。安全のために参加してほしいけれど、怖がる子を無理に連れていくのも違うと迷うことはありませんか。

保育所等訪問支援では、音を我慢する練習だけでなく、事前の伝え方、音以外の合図、先生の付き添いなどを学校と検討できます。目指したいのは、全員と同じ方法で参加することより、本人に伝わる方法で安全行動につなげることです。この記事では、学校の避難訓練でサイレンを怖がる子の参加調整に絞って考えます。

「音が怖い」と「避難の仕方が分からない」を分けて考える

まず、先生と確かめたいのは、訓練のどこで動きにくくなるかです。「避難訓練が苦手」という一言だけでは、調整する箇所を選びにくくなります。

例えば、サイレンが鳴った瞬間に耳をふさぐ場合と、放送後に周りの子が一斉に動き出してからしゃがみ込む場合では、試したい支援が異なります。音だけでなく、突然予定が変わることや、移動先が分からないことも、確認する候補に含めましょう。理由は観察だけで断定せず、本人が伝えられる範囲で聞きます。

  • 鳴る前:訓練の予告を聞いた時点で不安になるか。
  • 鳴っている間:耳をふさぐ、隠れる、その場を離れようとするなど、何が起きるか。
  • 移動時:先生の合図が分かるか。列や人の流れに入れるか。
  • 集合後:安全な場所に着いてからも、つらそうな様子が続くか。

保護者がすべてを調べる必要はありません。学校から聞いた事実と、まだ分からない点を分けて持ち寄れば十分です。国立特別支援教育総合研究所も、災害時の対応では、一人一人の特徴を理解した配慮と平素からの準備を重視しています。災害時における障害のある子どもへの配慮が参考になります。

保育所等訪問支援に頼めるのは、学校で実行できる方法の検討

保育所等訪問支援は、訪問支援員が学校などの生活場面を訪れ、子ども本人への支援や、職員への助言を行うサービスです。さいたま市も、集団生活への適応のための専門的な支援として案内しています。制度上の位置付けは、さいたま市「障害児通所支援事業所」で確認できます。

この場面で依頼したいのは、「訓練に参加させてください」だけではなく、「本人が合図を受け取り、安全に動き出すための方法を一緒に考えてほしい」ということです。訪問支援員には、先生の声掛け、周囲の動き、本人の反応を見ながら、学校で続けられる支援を検討してもらいます。

こども家庭庁のガイドラインでは、子どもの様子や環境の観察に加え、訪問先職員への支援、行事の参加方法や練習方法の検討も示されています。「保育所等訪問支援ガイドライン」掲載ページを踏まえた相談ができます。

ただし、訓練当日に訪問できるとは限りません。訪問日は学校と事業所の調整が必要です。当日の同行を前提にせず、事前の打ち合わせや普段の場面の観察から、先生が実施できる方法を整える選択肢も確認しましょう。

予告・合図・付き添いをどう組み合わせる?

次の表は、学校と検討するための例です。特定の方法を一律に勧めるものではなく、本人の受け止め方と学校の安全管理を確かめながら選びます。

困っている場面 検討する調整例 一緒に確認すること
突然の音で動けなくなる 訓練前に、音が鳴ることと、その後の行動を本人に伝える いつ、誰が、どのように伝えると理解しやすいか
耳をふさぐと放送の指示を受け取りにくい 先生が見える位置で、短い言葉と身振りなどの合図を使う 本人が合図に気付き、意味を理解できるか
音の負担が大きい 本人が普段使っているイヤーマフなどの使用を相談する 装着を嫌がらないか、避難指示を別の方法で受け取れるか
周囲が一斉に動くと立ち止まる 先生がそばで誘導する方法や、列の中の位置を検討する 担当する先生と、担当者が不在の場合の対応

イヤーマフは、音の刺激を軽減するための道具の一つです。高齢・障害・求職者雇用支援機構の「発達障害と支援機器」でも紹介されています。ただし、これは学校の避難時の安全を保証する資料ではありません。訓練で使うなら、道具だけを用意するのではなく、合図を伝える人と方法もセットで決めてください。

予告の内容も「大きな音が鳴るよ」で終わらせず、「音が鳴ったら先生を見る」「その後は先生と移動する」など、学校の計画に沿った行動まで具体化します。文部科学省の「実践的な防災教育の手引き 特別支援教育編」には、見通しを持たせることや、理解度に合わせた訓練の実践例が掲載されています。

訓練前に共有する「参加調整シート」

口頭の相談だけでは、「配慮してもらえると思っていた内容」が食い違うことがあります。次の項目を使い、決まったことと未確認のことを短く残しておきましょう。これは本記事の相談用ひな型であり、学校や自治体の公式様式ではありません。

  • 今回の目標:例「先生の合図を受け取り、付き添いで避難先へ移動する」。
  • 前回確認できた様子:例「サイレンの間は耳をふさぎ、放送後も机の横でしゃがんでいた」。
  • 本人に事前に伝える内容:音が鳴ること、最初にする行動、そばにいる先生。
  • 使用する道具・合図:普段使う道具の有無、本人に伝わる身振りや短い言葉。
  • 誘導担当と代替担当:担当者が別の対応をしている場合、誰が引き継ぐか。
  • 動けなくなった場合:その場で誰が安全を確保し、学校内でどう応援を求めるか。
  • 訓練後の確認:合図が伝わった場面、難しかった場面、次回変える点。

相談の順番は、まず担任に訓練予定と前回の様子を確認し、次に訪問支援員へ参加調整を相談、最後に学校側と実施内容をすり合わせる流れが考えられます。学校の窓口が別に定められている場合は、その連絡方法に合わせます。

保護者からは、例えば次のように依頼できます。

前回はサイレンの後も動き出せなかったと聞き、次の訓練の参加方法を相談したいです。訪問支援員とも、音が鳴る前の伝え方と、避難開始を知らせる合図を検討できますか。学校で実施できる方法を教えてください。

本人にも「何をしてもらうと助かるか」を確かめます。口頭で答えにくければ、道具を見せる、先生の立つ場所を指してもらうなど、選びやすい方法を探してください。

練習の調整と、実際の災害時の対応は分けて確認する

訓練前の準備として、音を鳴らさずに経路を確認したり、先生の合図で動き出すところを練習したりする案があります。ただし、それだけで実際の警報に対応できるようになったとは判断しません。

また、「音が苦手だから別室で待つ」とだけ決めるのも不十分です。訓練の一部を別の場所で行う案が出た場合は、そこが訓練上安全な場所か、誰が付き添うか、避難開始をどう伝えるかまで学校と確認する必要があります。実際の災害時の避難場所や経路は、災害の種類や状況によって学校が判断するものです。

学校の警報を止めることや、本人だけ避難を遅らせることを前提にせず、避難指示が本人に届く仕組みを考えましょう。訪問支援員は学校の防災担当者に代わって安全計画を決定する立場ではありません。

訓練後は「最後まで参加できたか」だけで評価せず、先生の合図に気付けたか、どこから手助けが必要だったかを確かめます。泣かなかったことより、安全行動につながった支援を残すことが次回の準備になります。

よくある質問(FAQ)

サイレンが苦手なら、訓練を休ませた方がよいですか?

この記事だけで参加や欠席を決めることはできません。つらさの程度と学校の支援体制を踏まえ、参加範囲や事前練習を相談してください。欠席を選ぶ場合も、別の機会に安全行動を確認できるか学校に尋ねましょう。

家庭でサイレンの録音を聞かせて練習する必要がありますか?

この参加調整では、録音を聞く練習を必須にする必要はありません。本人の了解なく突然再生する方法は避け、まず学校と訪問支援員に目的と進め方を確認してください。音を使わない経路確認や、合図の練習から相談する選択肢もあります。

訪問支援員が訓練当日に来られなくても相談できますか?

事前の聞き取りや普段の学校生活の観察を、参加方法の検討に生かすことは考えられます。当日の訪問、事前打ち合わせ、訓練後の振り返りのどこに対応できるかは、学校と事業所へ確認してください。

イヤーマフを本人が嫌がるときはどうしますか?

使用を前提にせず、予告や先生の位置、音以外の合図など別の調整を検討します。購入する前に、本人が普段どんな方法なら動きやすいかを学校と共有しましょう。

FabriCoへ、訓練の参加方法を相談したい方へ

FabriCoは、園・学校での困りごとについて、現場で支援方法を一緒に考える保育所等訪問支援を案内しています。詳しくはFabriCoの保育所等訪問支援をご覧ください。

避難訓練への同行可否や対応可能な日程は、個別の確認が必要です。「いつ訓練があるか」「前回どの場面で困ったか」「学校から何を聞いているか」を添えていただくと、検討したい内容を共有しやすくなります。FabriCoへの相談・見学についてはこちら。

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