工作が進まず困っているようなのに、大人が手を伸ばすと「触らないで」と嫌がる。放課後等デイサービスでも、どこまで手伝ってもらえばよいのか迷うことがあるかもしれません。
手伝いを受け入れさせることを目標にせず、「何を、どこまで、どんな方法なら手伝ってよいか」を本人と確かめるところから始めます。作品に触らず見本を示す、材料だけ押さえるなど、全部を代わる以外の選択肢もあります。
この記事では、制作中に大人が手を加える範囲に絞って考えます。以下の会話や工作場面は支援を検討するための例であり、FabriCoの実際の利用事例や、全員に共通する実施手順ではありません。
「触らないで」は、何を断っているのか
「助けてほしくない」と「自分の作品を変えてほしくない」は、同じではありません。例えば、箱に飾りを貼る場面なら、次のような希望を分けて確かめられます。
- 貼る場所は自分で決めたい。
- 貼り方は知りたいが、作品には触ってほしくない。
- 箱を押さえてほしいが、飾りは動かしてほしくない。
- 今は考えているので、声をかけずに待ってほしい。
これは理由を当てるための分類ではありません。「触られるのが嫌なのかな」と大人が決めず、本人が答えられる形で確認するための候補です。
こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドラインでは、言葉だけでなく、目の動きや顔の向き、声などにも目を向け、本人の思いや願いを丁寧にくみ取ることが示されています。
作品を抱える、差し出した手から材料を遠ざけるといった動きがあれば、まず手を止める。そのうえで「箱に触るのはやめるね。別の紙で見せようか」と、断られたことと次の提案を分けて伝える方法を考えます。
手伝いは「する・しない」の二択にしない
「手伝っていい?」だけでは、何をされるのか分かりにくいことがあります。支援先とは、手伝い方を具体的な動作に分けて相談してみてください。
| 手伝い方の候補 | 大人がすること | 確認する言葉の例 |
|---|---|---|
| 見守る | 作品には触れず、本人が試す時間を取る | 「今は触らずに待っていようか」 |
| 別の材料で示す | 端紙などで、折り方や組み方を見せる | 「先生の紙で折って見せてもいい?」 |
| 材料だけ支える | 本人が指定した箱や台紙を押さえる | 「この端だけ押さえていていい?」 |
| 指定された部分を代わる | 頼まれた一部分だけ作業する | 「このテープだけ貼る、で合っている?」 |
この表は、順番に進ませる段階表ではありません。「今日は別の紙で見たい」「この部分だけ代わってほしい」など、その場で選ぶための候補です。
例えば、紙の筒がつぶれて困っているときも、大人がすぐに形を直す必要はありません。「別の紙で丸め方を見る」「筒を支えてもらって自分で直す」といった選択肢を出せます。どれも選ばない場合は、作品を置いて休むことも提案します。
本人に合わせた対話や環境の調整は、同じガイドラインの合理的配慮に関する考え方にも沿うものです。ただし、この表自体は国が定めた支援方法ではなく、工作場面に当てはめた提案です。
作品に触れる前から、手伝いを終えるまでの確認手順
まず、差し出した手を止める
「触らないで」と言われたら、緊急の危険がない限り、作業を進めながら説得するのではなく、いったん手を引きます。「分かった。この箱には触らないね」と、止める対象を短く示します。
その直後に質問を重ねるより、本人が作品を見たり、落ち着いたりする余地を残すことを優先します。
提案は、一つの動作に絞る
「ちょっと直すね」では、形を変えるのか、部品を外すのかが分かりません。「箱の底を押さえるだけ」「先生の紙で一回折って見せる」など、大人がする動作を限定します。
答えがないときは、同意したと扱わず、提案を引っ込めるか、本人に合う別の確認方法を考えます。
途中でも取り消せるようにする
「押さえて」と頼まれた後でも、本人が「もういい」と言ったら止める。最初の了承を、作品全体を仕上げてよい許可に広げないことが大切です。
終わったら「底を押さえたよ。ここからは自分でやる?」と、作業を本人へ戻します。大人の判断で飾りの位置まで整える、といった追加は避けます。
こども家庭庁のこどもの意思の尊重・最善の利益の優先考慮の手引きでは、本人が意思を表しやすい手段や環境を工夫することが求められています。工作でも、言葉での返事だけを確認方法にしない視点が必要です。
「直したほうがきれい」と「安全のために止める」を分ける
飾りが斜めについている、見本と形が違う。こうした場面では、まず「本人はその状態を変えたいのか」を確かめます。大人の好みに合わせる修正と、本人が望む手助けは分けて考えたいところです。
一方、刃物や熱を伴う道具などで差し迫った危険がある場合は、了承を待ち続けるのではなく、安全の確保を優先します。作品の出来栄えを理由に介入することとは、扱いを分けます。
こども家庭庁の障害児支援における安全管理については、活動に伴う危険の把握と事故予防を扱っています。支援先には、使用する道具、職員が近くにつく場面、活動を止める条件を確認してください。
危険を避けた後は、「熱い部分に手が近づいたので止めた」と理由を伝え、安全にできる別の工程や材料を検討します。「触らないでと言わなければ続けられた」という話にはしません。
支援先と使える「手伝い確認メモ」
さいたま市周辺で放デイや児童発達支援を利用・検討している保護者は、工作中の一場面をもとに、次のようなメモを職員と作る方法があります。
記入例:紙の箱に飾りを貼る活動
- 本人が決めたいこと:飾りの場所と向き。
- 触れてよい範囲:頼まれたときに箱の底を支える。飾りは動かさない。
- 確かめ方:「底を押さえる?」と箱を指して聞く。返事がなければ始めない。
- 止める合図:「もういい」、手を引く、箱を遠ざける。その場で確認する。
- 次に試すこと:支える方法が合わなければ、別の箱でやり方を示す提案に変える。
このメモは、「この子は触られるのが苦手」と固定するためのものではありません。活動や相手が変われば希望も確かめ直します。大人が推測した内容は「未確認」と書き、本人が伝えたことと分けて残します。
見学では、この例を見せて「作品に触れる前に、どのように確認しますか」「途中で嫌だと示したら、どう対応しますか」と尋ねると、今回の迷いに絞った話ができます。
FabriCoの公式案内では、工作やロボット・プログラミングなどのものづくりと、一人ひとりのペースや興味に合わせた支援を紹介しています。ただし、この確認メモや合図をそのまま使えるかは未確認です。本人に合う方法を、相談・見学時に確かめてください。
よくある質問(FAQ)
言葉で「手伝って」と言えない子は、どう確認しますか?
実物を指して尋ねる、手伝い方を絵で示すなど、本人が使いやすい方法を検討します。国の意思尊重の手引きでも、写真や現物、指さしなどが例示されています。大人の解釈が合っているかも、繰り返し確かめます。
困っているのに断る場合は、そのまま見ていてよいですか?
「触れない」と「何も支援しない」は別です。作品への介入を止めたうえで、別の材料で示す、作業しやすい置き方を提案する、休むなどを検討できます。つらそうな状態が続くなら、完成を急がず、活動の難しさや環境を職員と見直します。
一度「いいよ」と言ったら、その工程は最後まで手伝ってよいですか?
途中の拒否も受け止める進め方を相談してください。「箱を支える」と「部品を貼り直す」も別の行為です。手伝う内容が変わるときは、改めて具体的に尋ねます。
大人が手を加えて、子どもを怒らせてしまったら?
追加の修正を止め、「聞かずに飾りを動かしてしまった」と起きたことを伝えるところから始めます。元に戻す場合も勝手に触らず、戻したいか、そのままにしたいかを確かめます。直後に謝罪への返事を求めず、次の活動に向けて確認方法を考えます。
FabriCoへの相談・見学では、一つの場面から
「工作のどの場面で、どんな手助けを嫌がったか」が分かれば、相談の出発点になります。理由が分からない場合は、無理に説明をつける必要はありません。
作品に触れずに示す方法や、本人に確かめる言葉など、合いそうな関わり方を具体的に相談してみませんか。利用方法や相談・見学の窓口は、FabriCoの施設利用案内をご確認ください。
参考にした情報
- こども家庭庁|放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)
- こども家庭庁|障害児支援におけるこどもの意思の尊重・最善の利益の優先考慮の手引き(令和6年8月)
- こども家庭庁|障害児支援における安全管理について

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