相談支援の担当者の説明や言葉遣いに困っていても、これからも子どものことでお世話になると思うと、本人には伝えにくいものです。担当者と直接話す以外にも、事業所の苦情受付窓口や、事業所の外にある埼玉県運営適正化委員会へ相談する方法があります。
さいたま市は、福祉サービスの提供者に直接相談しにくい場合や、話し合っても解決できない場合の相談先として、同委員会を案内しています。まず事業所を変えるかどうか決めるのではなく、何を改善してほしいのか、誰になら話せるのかを分けて考えてみましょう。制度上の案内は、さいたま市「福祉サービスに関する苦情の相談窓口」で確認できます。
相談支援への苦情は、担当者本人だけに伝えるものではありません
ここで扱うのは、障害児支援利用計画の作成などを担う相談支援事業所の対応への苦情です。例えば、説明を求めても十分な説明がない、面談で保護者の話を遮られる、対応の改善をお願いしたのに同じことが続く、といった場面を想定しています。
国の指定障害児相談支援の運営基準には、子どもや家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するため、受付窓口の設置など必要な措置を講じること、苦情の内容などを記録することが定められています。苦情対応は担当者個人とのやり取りだけでなく、事業所として取り組むべき事柄です。根拠は、指定障害児相談支援の運営基準・第27条「苦情解決」にあります。
最初の連絡では、出来事をすべて説明しなくても構いません。「担当者以外の方に、相談支援の対応について話したい」と伝え、受付先を確認するところから始める方法があります。
事業所内の窓口と、外部の委員会はどう違う?
まず、契約時の重要事項説明書などに「苦情」「相談窓口」の記載がないか探してみてください。見つからなければ、事業所へ窓口の連絡先を尋ねましょう。
| 相談先 | 確認したい役割 | 連絡するときのポイント |
|---|---|---|
| 事業所の苦情受付担当者・苦情解決責任者 | 申出を受け付け、事業所として改善に向けた話し合いを進める | 通常の担当者への相談ではなく、苦情として受け付けてほしいことを伝える |
| 事業所が案内する第三者委員 | 苦情の受付や、話し合いへの助言・立ち会いなど | 第三者委員の有無、連絡先、直接相談できる方法を確認する |
| 埼玉県運営適正化委員会 | 事業所に伝えにくい苦情や、解決しない苦情について外部から解決を支援する | 事業所へまだ伝えていない場合は、その理由も含めて相談する |
第三者委員については、国の苦情解決の指針に、直接の苦情受付や話し合いへの立ち会いなどの役割が示されています。ただし、利用中の事業所で誰が担っているかは個別の確認が必要です。詳しくは、厚生労働省「福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針」をご覧ください。
事業所が案内する第三者委員と、埼玉県社会福祉協議会に設置されている運営適正化委員会は、同じ窓口ではありません。外部に相談したい場合は、窓口名まで確かめると行き違いを防げます。
申出メモは「起きたこと・希望・共有への意向」を分ける
苦情を伝える準備として、次の項目を短く書く方法を提案します。これは本記事の整理例であり、正式な申立書式ではありません。
- 対象:相談支援事業所名、担当者名、利用している相談支援の内容
- 起きたこと:いつ、どの連絡方法や面談で、どのような対応があったか
- 困っていること:説明を理解できない、安心して希望を話せないなど、現在の支障
- 求める対応:責任者からの説明、面談への同席、対応方法の見直しなど
- 共有への意向:誰に伝わるか先に知りたい、事業所への連絡前に相談したいなど
以下は架空の記入例です。
計画内容について質問した際、質問への回答がないまま面談が終わりました。再度説明をお願いしましたが、どのように説明を受けられるか分からず困っています。計画の内容を理解したいので、次回は責任者にも同席していただきたいです。申出の内容が誰に共有されるか、先に教えてください。
相手の意図を断定するより、「質問した内容」「返ってきた説明」「まだ分からない点」を区別してみてください。出来事の記憶が曖昧なら、日付は「○月ごろ」、発言は「正確な言葉は覚えていない」と書けばよく、空欄を推測で埋める必要はありません。
手元にあるメールや説明書は、必要な箇所が分かるように整理しておきましょう。子どもの検査結果や学校の記録まで一括で送るのではなく、今回の苦情の確認に何が必要か、受付先に尋ねてから提出する方法がおすすめです。
事業所に申し出るときの文例と、話し合いで確かめること
次は、事業所内の窓口へ送るための文例です。自分の状況に合わせて書き換えてください。
現在利用している相談支援の対応について、苦情受付窓口へ相談したく連絡しました。担当者とのやり取りだけでは伝えにくいため、受付担当者または責任者の方にお話ししたいです。困っているのは○○で、希望する対応は○○です。内容を誰に共有するか、受付後はどのように進めるかも教えてください。
説明の機会が設けられたら、謝罪の有無だけで終わらせず、「今後はどの対応を変えるのか」を確認してみましょう。例えば、質問への説明を改めて行うのか、次回の面談に別の職員が加わるのか、といった具体的な内容です。
国の苦情解決の指針では、受付時に苦情内容や申出人の希望などを記録・確認し、解決や改善までの経過と結果も記録する仕組みが示されています。話し合った内容は、自分の申出がどう受け取られたかも含めて確認するとよいでしょう。苦情の受付・話し合い・記録に関する国の指針が参考になります。
直接言いにくい場合は、外部窓口へ相談できます
埼玉県運営適正化委員会は、事業所との話し合いで解決できなかった苦情だけでなく、事業所に伝えにくい苦情や不満も相談対象としています。家族からの相談もでき、匿名の相談も受け付けています。ただし、具体的な対応を希望する場合は、事業所名や相談者名などを尋ねられることがあります。埼玉県社会福祉協議会「運営適正化委員会」に受付方法と対応の流れが掲載されています。
最初は、「障害児相談支援の利用中の対応について相談したい。担当者には伝えにくいので、まず相談だけできるか」と尋ねる形でもよいでしょう。事業所へどのように伝わるか不安な場合は、その点を先に質問してください。
同委員会は、助言や状況の確認、必要に応じたあっせんなどによって解決を支援します。希望すれば必ず特定の結果になる、という仕組みではありません。事業所への伝達やあっせんには、本人の意向や当事者の同意を確認する過程があります。具体的な進め方は、同委員会の相談の流れを確認しながら相談しましょう。
なお、さいたま市の案内にある電話番号は048-822-1243です。相談日・時間などは変更される可能性があるため、利用前に市の相談窓口案内で確認してください。
よくある質問(FAQ)
担当者に苦情を伝えてからでないと、外部には相談できませんか?
必ず先に担当者へ伝えなければならない、という案内ではありません。さいたま市は、サービス提供者に直接相談しにくい場合も外部窓口への相談を案内しています。まだ伝えていない理由も説明してください。さいたま市の案内で確認できます。
名前を伝えずに相談できますか?
埼玉県運営適正化委員会は匿名の相談も受け付けています。ただし、具体的な対応には氏名や事業所名などの確認が必要になることがあります。匿名のままでどこまで相談できるか、最初に尋ねましょう。匿名相談についての公式案内をご覧ください。
録音などの証拠がないと、申し出られませんか?
同委員会の公式案内では、録音の提出を相談受付の必須条件としていません。まず覚えている範囲を伝え、確認に必要な資料を尋ねてください。記憶と推測は分け、不確かな部分をそのまま伝える方法で構いません。相談受付の流れが参考になります。
苦情を言った後、不利な対応をされないか心配です
個別の対応がどうなるかを、この記事で保証することはできません。外部窓口へ相談する際に、不利な扱いへの心配と、事業所への連絡前に確認したいことを伝えてください。国の運営基準には、正当な理由のない相談支援の提供拒否を禁じる規定もあります。実際に利用継続について気になる説明を受けた場合は、日時と内容を残して相談しましょう。指定障害児相談支援の運営基準・第7条を参照してください。
FabriCoへの相談・見学について
相談支援に求めることを考えるときは、子どもの希望をどう確かめてほしいか、家庭や学校との連携をどう説明してほしいかなど、具体的な場面から整理してみてください。
FabriCoへの相談・見学を検討される方は、相談・見学についてのご案内をご覧ください。現在の事業所への苦情相談を目的とする場合は、上記の苦情受付窓口や埼玉県運営適正化委員会を利用してください。
参考にした情報
- さいたま市「福祉サービスに関する苦情の相談窓口を教えてください。」
- 厚生労働省「児童福祉法に基づく指定障害児相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」
- 厚生労働省「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針について」

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