目次
運動療育とビジョントレーニングの基礎知識
運動療育とは
運動療育は、体を動かすことを通じて、お子さまの心と体の発達を促す支援方法です。体幹・バランス感覚、協調運動能力、集中力、コミュニケーション能力、自己肯定感など、さまざまな力を育てることができます。
さいたま市内の放課後等デイサービスや児童発達支援施設でも、積極的に取り入れられています。
ビジョントレーニングとは
ビジョントレーニングは、「見る力」を鍛えるトレーニングです。視力検査で測る「見える力」とは異なり、目の動き、見たものを認識する能力、目と身体の協調など、視覚機能全体を育てます。
人間は外界からの情報の約8割を目から得ているといわれています。しかし、「見える」ことと「見る力がある」ことは別物です。
なぜ今、ビジョントレーニングが必要なのか
現代の子どもたちは、スマートフォンやタブレットなど、近い距離で小さな画面を見る機会が増えています。そのため、目を大きく動かして広い範囲から情報を取り入れたり、立体的にものを見たりする機会が減っています。
昔は外遊びを通して自然に鍛えられていた「見る力」が、現代では意識的にトレーニングする必要が出てきているのです。
最も効果が出やすいのは6〜13歳で、「目のゴールデンエイジ」とも呼ばれています。ただし、未就学児でも遊びを通じて楽しく取り組めます。
ビジョントレーニングで改善できる困りごと
読み書きの困難
- 行を読み飛ばしてしまう
- 文字を書くのに時間がかかる
- 文字がマス目からはみ出す
- 板書をノートに写すのが苦手
運動の困難
- ボールをうまくキャッチできない
- 縄跳びが苦手
- 体の動きがぎこちない
- よく転ぶ
日常生活の困難
- 集中力が続かない
- 忘れ物が多い
- 物にぶつかりやすい
これらの困りごとの背景に、「見る力」の弱さが隠れていることがあります。
ビジョントレーニングの3つの要素
1. 眼球運動トレーニング 動くものを目で追ったり、視線を素早く動かしたりする力を育てます。読書時に行を飛ばさない、黒板とノートの間で視線を移動させるなどに必要です。
2. 視知覚トレーニング 形や色を見分けたり、空間の位置関係を把握したりする力を鍛えます。文字の形を正確に認識する、図形問題を理解するなどに役立ちます。
3. 目と手の協応トレーニング 見たものに対して適切に体を動かす力を育てます。ボールを投げる・受ける、文字を書くなど、日常のあらゆる動作に関わります。
運動療育の具体的な内容
全身を使った運動遊び
鬼ごっこ・だるまさんが転んだ 瞬発力、判断力、空間認識能力を育てます。動いている人を目で追う、周囲の状況を把握するなど、ビジョントレーニングの要素も含まれています。
ボール遊び 協調運動能力、反応速度を高めます。動くボールを目で追う、距離感を把握するなど、目と手の協応を鍛えます。
バランス遊び(平均台、バランスボール、トランポリン) 体幹、バランス感覚を育てます。体の位置を視覚で確認する、視点を安定させるなど、視覚機能の向上にもつながります。
手先を使った活動
工作・ものづくり 折り紙、はさみを使った工作、粘土遊びなど。創造力、手指の発達に加えて、細かい部分を見る力、形を認識する力を養います。
プログラミング活動 LEGO®やScratch、KOOV®などを使った活動。論理的思考力を育てるとともに、画面を見ながら手を動かす、目と手の協応を鍛えます。
さいたま市内には、これらの活動を組み合わせて提供している施設が増えています。
家庭でできる簡単なビジョントレーニング
1. 指追い運動(眼球運動)
お子さまの目の前30cmくらいのところに人差し指を立て、指をゆっくり左右・上下・円を描くように動かします。顔を動かさず目だけで指を追ってもらいます。
ポイント: 1日5分程度、楽しい雰囲気で行いましょう。
2. ビー玉つかみ(目と手の協応)
箸やトングを使って、ビー玉を別の容器に移します。最初は大きめのものから始めて、徐々に小さくしていきます。
3. 絵探し遊び(視知覚)
「ウォーリーをさがせ」のような絵探し絵本を使います。時間制限を設けず、見つかったら一緒に喜びましょう。
4. けん玉・お手玉(総合的なトレーニング)
けん玉は、目でボールの動きを追いながら、手の動きをコントロールする必要があるため、ビジョントレーニングに最適です。
家庭で行う際の注意点
- 無理強いしない(楽しい雰囲気で)
- 短時間から始める(1日5〜10分程度)
- できたことを褒める
- 継続することが大切
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 運動療育とビジョントレーニングの違いは何ですか?
A. 運動療育は体を動かすことを通じた発達支援全般、ビジョントレーニングは「見る力」に焦点を当てたトレーニングです。両者は密接に関連しており、運動療育の中にビジョントレーニングの要素を取り入れることで、より効果的な支援ができます。
Q2. ビジョントレーニングは視力を良くするものですか?
A. ビジョントレーニングは視力(近視や遠視の改善)を目的とするものではありません。目の動き、見たものを認識する能力、目と身体の協調など、「見る力」全体を鍛えるものです。
Q3. 運動が苦手な子でも参加できますか?
A. はい、参加できます。運動療育は競争や成果を求めるものではなく、一人ひとりのペースに合わせて楽しく体を動かすことを重視しています。
Q4. ビジョントレーニングはいつから始めるのが良いですか?
A. 6〜13歳が最も効果が出やすい「目のゴールデンエイジ」ですが、未就学児でも遊びを通じて楽しく取り組めます。早い時期から視覚機能の基礎を育てておくことが大切です。
Q5. どのくらいの期間で効果が出ますか?
A. お子さまの状態や取り組み方によって異なりますが、一般的には3ヶ月程度継続すると変化が見られることが多いです。効果を焦らず、長期的な視点で取り組みましょう。
Q6. ビジョントレーニングだけで学習の困難は解決しますか?
A. ビジョントレーニングは万能ではありません。学習環境の工夫(文字を大きくする、余白を作るなど)や、他の支援を組み合わせることが効果的です。
Q7. 運動療育を受けるには、診断書や受給者証が必要ですか?
A. 放課後等デイサービスや児童発達支援で運動療育を受ける場合は、受給者証が必要です。受給者証の取得に診断書は必須ではありませんが、発達の状態を確認するための面談や相談が必要になります。
Q8. 運動療育とスポーツクラブの違いは何ですか?
A. 運動療育は、お子さま一人ひとりの発達段階や特性に合わせた個別の支援を行います。競技力向上を目的とするスポーツクラブとは異なり、発達支援の専門的な視点から、お子さまに必要な力を育てることを目的としています。
Q9. 発達障害の診断がなくても、運動療育を受けられますか?
A. はい、受けられます。診断の有無に関わらず、発達に気になることがあれば、まずは相談してみることをおすすめします。
Q10. さいたま市内で運動療育・ビジョントレーニングを受けられる施設はありますか?
A. さいたま市内には、運動療育やビジョントレーニングを取り入れた施設が増えています。浦和区、大宮区、中央区、見沼区、緑区など、各エリアに特色を持った施設があります。お子さまの特性やご家族のニーズに合わせて、複数の施設を見学・比較してみることをおすすめします。
まとめ
運動療育とビジョントレーニングは、お子さまの心と体の発達を総合的にサポートする有効な方法です。
読み書きの苦手さ、運動のぎこちなさ、集中力の続きにくさなど、お子さまの困りごとの背景に「見る力」の弱さが隠れていることがあります。ビジョントレーニングを取り入れた運動療育は、こうした困りごとの改善に役立つ可能性があります。
さいたま市内には、運動療育やビジョントレーニングを取り入れた施設が増えています。上木崎・与野エリア、大宮駅周辺、浦和駅周辺、さいたま新都心など、各エリアに特色を持った施設がありますので、お子さまに合った施設を見つけてください。
家庭でできる簡単なビジョントレーニングもありますので、まずは遊びの中に取り入れてみてはいかがでしょうか。お子さまが「楽しい」と感じることが、何よりも大切です。
さいたま市浦和区上木崎のFabriCo
FabriCoでは、運動療育に加えて、プログラミングや工作などのものづくり療育を組み合わせた総合的な支援を行っています。日曜日の運動遊びプログラムも実施しており、平日は忙しいお子さまでも参加しやすい環境です。
放課後等デイサービス・児童発達支援の両方に対応しており、相談支援事業所も併設しています。お子さまの発達についてご相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。
JR与野駅から徒歩7分|上木崎小学校区・大宮南小学校区を中心に送迎対応
