はじめに:選択肢が増えた今、何を基準に選べばいいの?
お母さん:息子が不登校になって半年が経ちます。最近「いろどり学園」という新しい学校ができると聞きましたが、フリースクールや適応指導教室との違いがよくわからなくて…。どうやって選べばいいのでしょうか?
相談支援専門員:そのお悩み、とてもよくわかります。実は、さいたま市では不登校のお子さんへの支援選択肢がここ数年で大幅に増えているんです。今日は、いろどり学園、フリースクール、適応指導教室、それぞれの特徴と選び方について、わかりやすくお話しさせていただきますね。
さいたま市の不登校支援の現状
選択肢が多様化している背景
お母さん:そもそも、なぜこんなに選択肢が増えたのでしょうか?
相談支援専門員:文部科学省の方針で「多様な学びの場」を保障することが重要視されるようになったからです。従来は「学校復帰」が目標とされていましたが、現在は「社会的自立」を目標として、一人ひとりに合った学びの場を提供することが求められています。
さいたま市でも、この方針に基づいて「学びの多様化学校(いろどり学園)」が2025年4月に開校予定となり、既存のフリースクールや適応指導教室と合わせて、より豊富な選択肢が用意されています。
いろどり学園の特徴と魅力
公立学校としての安心感
お母さん:いろどり学園って、具体的にはどんな学校なんですか?
相談支援専門員:いろどり学園は、さいたま市立の「学びの多様化学校」です。これは文部科学省指定の正式な学校で、不登校児童生徒の実態に配慮した特別な教育課程を編成して教育を実施します。
大きな特徴は3つあります:
- 「いつでもどこでも学びにアクセス」 – オンライン学習と対面学習を組み合わせ、お子さんの状況に応じて柔軟に対応
- 「未来工房」という独自教科 – 自分らしく学べる時間で、過去の学習に戻ったり、興味のある分野を深めたりできる
- 「安心できる居場所」 – 少人数指導で、一人ひとりに寄り添った支援
全市6か所のキャンパス展開
お母さん:通いやすさはどうでしょうか?
相談支援専門員:さいたま市内6か所にキャンパスがあり、アクセス面でも配慮されています。
- 本校・岸町キャンパス(浦和区):さいたま市立教育研究所内
- 北キャンパス(北区):つばさ小学校敷地内
- 堀崎キャンパス(見沼区):職員研修センター内
- あいぱれっとキャンパス(浦和区):子ども家庭総合センター3階
- 美園キャンパス(緑区):美園コミュニティセンター3階
- 岩槻キャンパス(岩槻区):ワッツ東館4階
浦和・与野・さいたま新都心・大宮エリアからも通いやすい立地になっています。
学力保障と進路への配慮
お母さん:学力面や進路への影響が心配です。
相談支援専門員:授業時間数は通常の学校の7割程度ですが、学習内容は通常の学校と同じ内容を網羅します。また、出席扱いとなるため、高校受験への影響も最小限に抑えられます。
フリースクールの特徴とメリット
多様性と自由度の高さ
お母さん:フリースクールはどんな特徴があるのでしょうか?
相談支援専門員:フリースクールは民間が運営する教育機関で、**最大の特徴は「多様性」と「自由度の高さ」**です。各スクールが独自の教育理念に基づいて運営しており、お子さんの個性や興味に合わせた学習プログラムを提供しています。
フリースクールの魅力:
- 少人数制でアットホームな環境
- 子どもの主体性を重視した学習スタイル
- 体験学習や創作活動など独自プログラム
- 年齢混合の環境で社会性を育める
さいたま市内のフリースクール事情
相談支援専門員:さいたま市内にも複数のフリースクールがあり、それぞれ特色があります。プログラミング教育に力を入れているところ、自然体験を重視するところ、学習支援に特化したところなど様々です。
私たちFabriCoも、ものづくりをテーマにした療育を通じて、お子さんの「自分らしさ」を大切にする支援を行っています。フリースクールとは異なりますが、同じように「子どもを中心に置いた」教育理念を大切にしています。
適応指導教室(教育支援センター)の役割
学校復帰への段階的支援
お母さん:適応指導教室というのも聞いたことがありますが…。
相談支援専門員:適応指導教室は、正式には「教育支援センター」と呼ばれ、さいたま市教育委員会が運営している公的な支援機関です。
主な特徴:
- 学校復帰を前提とした段階的支援
- 学習支援と心理的支援の両方を提供
- 在籍校との連携が密接
- 教育相談やカウンセリングも受けられる
お母さん:いろどり学園との違いは何ですか?
相談支援専門員:適応指導教室は「在籍校への復帰支援」が主目的ですが、いろどり学園は「転校先としての学校」という位置づけです。適応指導教室で力をつけてから在籍校に戻る、という流れが一般的ですね。
それぞれの選択肢を比較してみよう
一覧表で見る違い
お母さん:それぞれの違いがだんだん見えてきました。整理して教えてもらえますか?
相談支援専門員:はい、比較表でまとめてみますね。
項目 | いろどり学園 | フリースクール | 適応指導教室 |
---|---|---|---|
運営 | さいたま市立 | 民間 | さいたま市教育委員会 |
位置づけ | 正式な転校先 | 居場所・学習支援 | 在籍校復帰支援 |
出席扱い | 出席 | 出席扱い(条件あり) | 出席扱い |
学習内容 | 学習指導要領準拠 | 独自プログラム | 学習指導要領準拠 |
費用 | 無料(公立) | 有料 | 無料 |
進路 | 高校受験対応 | スクールにより異なる | 高校受験対応 |
お子さんの状況別おすすめパターン
相談支援専門員:お子さんの状況に応じた選び方のパターンをご紹介しますね。
パターン1:学校環境は苦手だが、学習意欲はある場合 → いろどり学園がおすすめ。少人数で学習環境が整っており、公立学校としての学力保障もあります。
パターン2:個性を伸ばしたい、創作活動に興味がある場合 → フリースクールがおすすめ。独自プログラムでお子さんの興味を伸ばせます。
パターン3:元の学校に戻りたい気持ちがある場合 → 適応指導教室がおすすめ。段階的に学校復帰を目指せます。
複数の選択肢を組み合わせる方法
併用という考え方
お母さん:これらの選択肢は、どれか一つしか選べないのでしょうか?
相談支援専門員:実は、組み合わせて利用することも可能です。例えば:
- 適応指導教室で基礎を固めつつ、フリースクールで興味のある活動をする
- いろどり学園に通いながら、放課後等デイサービスで個別支援を受ける
- フリースクールで社会性を育みながら、家庭学習で学力をつける
FabriCoの相談支援事業所での総合的サポート
相談支援専門員:私たちFabriCoの相談支援事業所では、このような複数の選択肢を含めた総合的な支援プランを一緒に考えています。
サポート内容:
- お子さんの状況に応じた最適な選択肢のアドバイス
- 各機関との連携調整
- 申し込み手続きのサポート
- 定期的な見直しとプラン調整
選択のための具体的なステップ
Step 1:お子さんの状況を整理する
お母さん:具体的にはどうやって選べばいいでしょうか?
相談支援専門員:まず、以下の点を整理してみてください:
- 学習面:勉強への関心はどの程度あるか?
- 社会性:同年代の子との関わりはどうか?
- 環境:どのような環境だと安心できるか?
- 将来:高校進学や将来への希望はあるか?
- 家族:ご家族としてはどんな支援を望むか?
Step 2:実際に見学・体験をする
相談支援専門員:情報収集の後は、実際に体験することが重要です。
いろどり学園では、7月22日~8月8日にプレ開校があり、実際の授業を体験できます。フリースクールも多くが見学や体験入学を受け入れています。適応指導教室も相談を通じて見学が可能です。
Step 3:専門家に相談する
お母さん:一人で判断するのは不安です…。
相談支援専門員:そのために、私たちのような相談支援専門員がいます。お子さんの状況を詳しく伺い、最適な選択肢をアドバイスします。また、手続きのサポートや関係機関との調整も行います。
よくある心配事とその解決策
「選択を間違えたらどうしよう」という不安
お母さん:もし選択を間違えてしまったら…と思うと怖いです。
相談支援専門員:その心配はとてもよくわかります。でも、**「選択は変更できる」**ということを知っておいてください。
- いろどり学園から元の学校に戻ることも可能
- フリースクールを変えることもできる
- 複数の支援を組み合わせることも可能
大切なのは、お子さんの成長に合わせて柔軟に対応することです。
「学力が下がってしまうのでは」という心配
お母さん:やはり学力面での不安があります。
相談支援専門員:学力への配慮は、どの選択肢でも重視されています。
いろどり学園では学習指導要領に準拠した内容を学習しますし、フリースクールでも多くが学習支援を行っています。適応指導教室では個別の学習支援が充実しています。
また、家庭学習のサポートや学習塾との併用なども検討できます。
「友達ができるだろうか」という心配
お母さん:息子は人とのかかわりが苦手で…。
相談支援専門員:人とのかかわりが苦手なお子さんにこそ、適切な環境選びが重要です。
- 少人数環境を好むなら、フリースクールや適応指導教室
- 同世代との関わりを重視するなら、いろどり学園
- 個別対応が必要なら、相談支援と組み合わせた支援
無理に友達を作ろうとせず、安心できる環境で徐々に関係性を築いていけば大丈夫です。
さいたま市エリア別のアクセス情報
浦和・与野・さいたま新都心エリアからのアクセス
お母さん:我が家は与野在住なのですが、通いやすさはどうでしょうか?
相談支援専門員:与野エリアからでしたら、複数の選択肢が通いやすい距離にあります。
いろどり学園:
- あいぱれっとキャンパス:JRさいたま新都心駅から近く、与野駅からもアクセス良好
- 岸町キャンパス:浦和駅から徒歩圏内
適応指導教室:
- さいたま市内各区に設置されており、最寄りのセンターを利用可能
フリースクール:
- 市内各所に点在しており、教育理念と併せて通いやすさも考慮して選択
大宮エリアからのアクセス
相談支援専門員:大宮エリアからも、各選択肢へのアクセスは良好です。特に**北キャンパス(いろどり学園)**は大宮からも通いやすい立地にあります。
FabriCoの相談支援事業所の特長
ものづくり療育の経験を活かした相談支援
お母さん:FabriCoさんの相談支援は、他とどう違うのでしょうか?
相談支援専門員:私たちは、ものづくり(Fabrication)をテーマにした放課後等デイサービスも運営しています。この経験から、お子さんの「作る喜び」「自己表現」の大切さを深く理解しています。
私たちの強み:
- 2011年からのプログラミング教育実績 – 新しい学びの可能性を切り拓く経験
- 「Un-School(学校らしくない学校)」の理念 – 既存の枠にとらわれない支援
- 対話を重視したアプローチ – お子さんの声を大切にする相談
- 地域の教育資源への深い理解 – さいたま市の支援機関との密な連携
継続的な支援体制
相談支援専門員:選択をサポートするだけでなく、その後の**モニタリング(定期的な見直し)**も大切にしています。半年に一度、支援内容が適切か、お子さんの成長に合っているかを一緒に確認していきます。
まとめ:お子さんにとって最適な選択を見つけよう
選択の基本原則
お母さん:今日はたくさんのことを教えていただき、ありがとうございました。選ぶ時の基本的な考え方を教えてください。
相談支援専門員:選択の基本原則は以下の通りです:
- お子さんの気持ちを最優先に – 本人の意思を尊重する
- 今の状況に合わせて – 現在の状態に無理のない選択を
- 将来への道筋も考慮 – 社会的自立に向けた長期的視点
- 柔軟性を保つ – 状況に応じて変更できることを念頭に
- 専門家と連携 – 一人で悩まず、相談しながら進める
それぞれの選択肢の素晴らしさ
相談支援専門員:いろどり学園は公立学校として安心感があり、個別対応も充実しています。フリースクールは独自性と創造性を重視し、お子さんの個性を伸ばします。適応指導教室は丁寧な段階的支援で学校復帰をサポートします。
どれも素晴らしい選択肢で、「正解」はお子さんによって違います。大切なのは、お子さんが安心して成長できる環境を見つけることです。
まずは相談から始めましょう
お母さん:まずは相談から始めてみたいと思います。
相談支援専門員:ぜひそうしてください。一人で悩まず、専門家と一緒に最適な道筋を見つけていきましょう。
お子さんの「自分らしさ」を大切にしながら、将来への希望を持てる選択をサポートいたします。いろどり学園、フリースクール、適応指導教室、どの選択肢も、お子さんの成長を支える大切な場所です。
お問い合わせ・ご相談はこちら
FabriCo 障害児相談支援事業所 Un-School計画相談支援
- 住所: さいたま市浦和区上木崎1-7-1 近代模型ビル2・3階
- 営業日: 毎週月曜日 10:00-17:00
- アクセス: JR与野駅徒歩7分、さいたま新都心駅徒歩8分
ご相談・施設見学のお申し込み
対象エリア: さいたま市(浦和・与野・さいたま新都心・大宮・その他全域)
いろどり学園、フリースクール、適応指導教室の選択でお悩みの保護者の方、まずはお気軽にご相談ください。お子さんの「自分らしい学び」を一緒に見つけていきましょう。