今日は、ちょっと考えさせられるお話をしたいと思います。
「不登校」と聞くと、多くの人が「問題」だと思いがちです。でも、本当に不登校は問題なのでしょうか?学校に行けるようになれば、すべて解決なのでしょうか?
お話をうかがうのは、さいたま市のFabriCoで相談支援をしている田村さん(仮名)です。浦和・与野・さいたま新都心・大宮エリアで、長年たくさんの子どもたちと向き合ってきた経験から、率直にお答えします。
「不登校=問題」という思い込み
お母さん:「うちの子、もう3ヶ月も学校に行ってないんです。やっぱり問題ですよね?早く学校に行けるようになってほしくて…」
田村さん:「お母さんの気持ち、とてもよく分かります。でも、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?そもそも、不登校は本当に『問題』なんでしょうか?」
お母さん:「えっ?問題じゃないんですか?」
田村さん:「不登校そのものが問題なのではなく、不登校になった『理由』に問題があるかもしれません。つまり、不登校は『結果』であって、『原因』ではないんです。」
不登校を別の角で見てみる
田村さん:「例えば、こんな風に考えてみてください:
体調を崩して学校を休む場合
- 熱が出たから休む → 当たり前
- 体が辛いのに無理して行く → 逆に問題
心の調子を崩して学校を休む場合
- 心が辛いから休む → 実は当たり前
- 心が辛いのに無理して行く → 実は危険
不登校は、お子さんが自分を守るために選択した、大切なサインかもしれません。」
お母さん:「そう言われると…確かに、子どもなりに頑張って選択したのかもしれませんね。」
田村さん:「そうなんです。だから、『なぜ休む必要があったのか』を理解することの方が大切だと思います。」
いろどり学園:新しい選択肢の登場
お母さん:「来年4月に『いろどり学園』ができるって聞きました。そこに行けば解決するでしょうか?」
田村さん:「いろどり学園は、本当に素晴らしい取り組みだと思います。さいたま市が子どもたちのことを真剣に考えて作った学校ですからね。」
いろどり学園の良いところ
田村さん:「いろどり学園の特徴を見てみましょう:
安心できる環境
- 少人数制で、一人ひとりをしっかり見てもらえる
- 無理をしなくていい雰囲気
- オンラインでも参加できる
通いやすい場所
- さいたま市内に6つのキャンパス
- 浦和・与野・大宮エリアからは岸町キャンパス、あいぱれっとキャンパスが近い
- 自分に合った場所を選べる
個別対応
- 『未来工房』という時間で、その子に合った学習
- 過去の復習も、興味のあることも学べる
正式な学校
- 文部科学省認定の正式な学校
- 卒業すれば、普通の小中学校と同じ扱い」
お母さん:「とても良さそうですね!これで安心です。」
田村さん:「確かに素晴らしい学校です。でも、ちょっと待ってください。学校に行けるようになることだけが、本当の解決でしょうか?」
学校復帰だけが解決ではない理由
お母さん:「学校に行けるようになれば解決じゃないんですか?」
田村さん:「もちろん、学校に行けることは大切です。でも、それだけでは根本的な解決にならない場合もあるんです。」
学校復帰だけでは足りない理由
田村さん:「例えば:
1. 根本的な原因が残っている
- 学習の困難さがそのまま
- コミュニケーションの苦手さが変わらない
- 感覚過敏などの特性が残っている
2. 新しい環境でも同じ問題が起きる
- いろどり学園でも人間関係で悩む
- 少人数でも集団が苦手
- 勉強のつまずきは変わらない
3. 将来への準備ができていない
- 高校に行ったときに困る
- 社会に出たときに困る
- 自分で問題を解決する力がない」
お母さん:「確かに…学校に行けても、根本的な困りごとが解決しなければ、また同じことが起きそうですね。」
田村さん:「そうなんです。だから、『なぜ不登校になったのか』をしっかり理解して、その原因に向き合うことが大切なんです。」
障害に起因する問題:じっくり向き合う大切さ
お母さん:「うちの子、発達障害かもしれないって言われたことがあるんです。それも関係ありますか?」
田村さん:「とても大切なポイントです。障害に起因する問題がある場合は、じっくりと向き合う必要があります。」
お母さん:「じっくり向き合うって、どういうことですか?」
田村さん:「急いで学校に戻そうとするのではなく、その子の特性を理解して、適切な支援を見つけることです。」
障害特性と不登校の関係
田村さん:「例えば、こんなケースがあります:
学習障害(LD)の場合
- 読み書きが苦手で授業についていけない
- 『自分はバカだ』と思ってしまう
- 学校が嫌になって不登校に
ADHD(注意欠陥多動性障害)の場合
- じっとしていられなくて注意される
- 忘れ物が多くて怒られる
- 学校が居心地悪くなって不登校に
ASD(自閉スペクトラム症)の場合
- 友達とのコミュニケーションがうまくいかない
- 感覚過敏で教室がつらい
- 集団生活が苦手で不登校に」
お母さん:「そうすると、学校を変えるだけでは解決しないということですね。」
田村さん:「学校を変えることも大切ですが、それと同時に、障害特性への理解と支援が必要なんです。」
障害特性への適切な支援とは
お母さん:「具体的には、どんな支援があるんですか?」
田村さん:「障害福祉サービスを使って、その子の特性に合った支援を受けることができます。」
障害福祉サービスでできること
田村さん:「例えば:
放課後等デイサービス
- 学習の苦手な部分を、その子に合った方法で支援
- ソーシャルスキル(人との関わり方)の練習
- 感覚統合(感覚の問題への対応)
児童発達支援
- もっと基礎的な発達の支援
- 体の使い方、感覚の調整
- 基本的な生活スキル
保育所等訪問支援
- 学校に専門家が行って、先生と一緒に支援方法を考える
- 教室での過ごし方をアドバイス
相談支援
- 全体的な支援計画を立てる
- 定期的に見直しをして調整する」
お母さん:「そういう支援を受けながら、いろどり学園にも通えるんですか?」
田村さん:「はい、併用できます。実際に、両方を使うことでより良い結果が期待できます。」
実際の例:Eくんの「じっくり向き合った」結果
お母さん:「実際に、じっくり向き合った例を教えてもらえますか?」
田村さん:「プライバシーに配慮して、お話ししますね。
Eくん(中学1年生)の場合
最初の状況
- 小学校5年生から不登校
- 『早く学校に戻さなきゃ』とお母さんが焦っていた
- 無理に学校に行かせようとして、親子関係も悪化
相談支援での見直し
- まず『なぜ不登校になったのか』を整理
- Eくんの話をゆっくり聞いた
- 専門機関で詳しい検査も受けた
分かったこと
- 軽度の自閉スペクトラム症
- 聴覚過敏があり、教室の音が辛かった
- 友達の気持ちを読むのが苦手で、トラブルが多発
- でも、一人でいるときは落ち着いて勉強できる
じっくり向き合った支援
- 環境調整:静かな環境で過ごす時間を増やした
- ソーシャルスキル支援:人との関わり方を練習
- 学習支援:一人でも学べる方法を見つけた
- 親への支援:お母さんの不安も軽くなるようサポート
1年後の様子
- 不登校のままだが、家庭学習で学力は向上
- ソーシャルスキルも上達して、近所の子と遊べるようになった
- お母さんも『学校に行かなくても成長している』と安心
- 来年はいろどり学園に挑戦してみる予定」
お母さん:「学校に戻ることを急がず、じっくり向き合ったから良い結果になったんですね。」
田村さん:「そうなんです。急いで学校に戻そうとするよりも、根本的な問題に向き合う方が、最終的には良い結果になることが多いんです。」
本当に大切なのは「その子らしい成長」
お母さん:「でも、学校に行かないと将来が心配で…」
田村さん:「その気持ち、とてもよく分かります。でも、**本当に大切なのは『その子らしく成長すること』**だと思います。」
「その子らしい成長」とは?
田村さん:「例えば:
学力面
- その子のペースで学べればいい
- 得意なことを伸ばす
- 苦手なことは、別のアプローチで
社会性
- 人との関わり方を少しずつ学ぶ
- 自分の特性を理解して、うまく付き合う方法を見つける
- 困ったときに助けを求められる
生活力
- 自分のことは自分でできるようになる
- 将来の目標を持つ
- 社会の中で自分らしく生きる力
これらが身につけば、どこの学校に通っていても、通っていなくても、その子は大丈夫です。」
お母さん:「確かに、学校に行くことよりも、そっちの方が大切ですね。」
FabriCoの相談支援:「その子らしさ」を大切に
お母さん:「FabriCoさんは、どんなことを大切にしているんですか?」
田村さん:「私たちが一番大切にしているのは、**『その子らしさ』**です。」
FabriCoの支援の特徴
田村さん:「私たちの特徴は:
1. 急がない
- 『早く学校に』と焦らない
- その子のペースを大切にする
- じっくり根本的な問題に向き合う
2. 決めつけない
- 『学校に行くのが当たり前』と決めつけない
- その子にとって何が一番いいかを一緒に考える
- いろんな選択肢を提示する
3. 長期的な視点
- 今だけでなく、将来のことも考える
- 高校、大学、就職まで見据えて
- 社会で自立できることを目指す
4. 家族全体をサポート
- 子どもだけでなく、お母さん、お父さんの不安も聞く
- 家族みんなが安心できるように
- 必要に応じて他の専門家とも連携」
お母さん:「それは心強いですね。どんな相談ができるんですか?」
田村さん:「こんなご相談をお受けしています:
- 『不登校の子どもと、どう向き合ったらいいか分からない』
- 『いろどり学園がいいのか、他の選択肢がいいのか迷っている』
- 『発達障害かもしれないが、どうしたらいいか分からない』
- 『将来が不安で、今何をしたらいいか分からない』」
実際の相談支援の流れ
お母さん:「相談支援では、具体的にどんなことをしてもらえるんですか?」
田村さん:「こんな流れでサポートします:
ステップ1:ゆっくりお話を聞く
- お子さんの今の様子
- お母さんの気持ちや不安
- 今まで何をしてきたか
- 将来への希望
ステップ2:『なぜ』を一緒に考える
- なぜ不登校になったのか
- 何が一番つらかったのか
- どんな支援があれば安心できるか
ステップ3:選択肢を整理する
- いろどり学園は合うか
- 障害福祉サービスは必要か
- 他にどんな方法があるか
- 優先順位はどうするか
ステップ4:計画を立てる
- 短期的な目標(3ヶ月、半年)
- 長期的な目標(1年、3年)
- 使うサービスや支援
- 家族でできること
ステップ5:実行とフォロー
- 各種手続きのお手伝い
- 定期的な相談(月1回程度)
- 状況に応じて計画を調整
- 困ったときはいつでも相談可能」
お母さん:「とても丁寧にサポートしてもらえるんですね。料金はかかるんですか?」
田村さん:「相談支援は基本的に無料です。国の制度を使うので、安心してご相談ください。」
不登校について考え直してみませんか?
お母さん:「今日のお話を聞いて、不登校に対する見方が変わりました。」
田村さん:「それは良かったです。不登校は『問題』ではなく、『きっかけ』かもしれません。」
不登校をきっかけに見えること
田村さん:「不登校になったからこそ:
子どもの本当の気持ちが分かる
- 学校で何がつらかったか
- どんなことに困っていたか
- 本当はどうしたいか
子どもの特性に気づける
- 今まで気づかなかった特徴
- 得意なこと、苦手なこと
- その子らしい学び方
家族の絆が深まる
- 子どもと向き合う時間が増える
- 家族でゆっくり話す機会
- お互いを理解し合える
新しい選択肢に出会える
- いろどり学園のような新しい学校
- 障害福祉サービス
- その子に合った支援方法
不登校は、『その子にとって本当に大切なことは何か』を考えるきっかけになるかもしれません。」
まとめ:焦らず、じっくり、その子らしく
田村さん:「今日のお話をまとめると:
1. 不登校は問題ではなく、サイン
- 不登校になった『理由』が大切
- お子さんが自分を守るために選択した可能性
- 焦って学校に戻そうとしなくてもいい
2. 学校復帰だけが解決ではない
- いろどり学園は素晴らしい選択肢
- でも、根本的な原因への対応も必要
- 将来を見据えた長期的な支援が大切
3. 障害特性にはじっくり向き合う
- 特性を理解することから始める
- 適切な支援を組み合わせる
- 急がず、その子のペースで
4. 本当に大切なのは「その子らしい成長」
- 学校に行くことより、成長すること
- その子なりの学び方、生き方を見つける
- 家族みんなが安心できることが一番
**焦らず、じっくり、その子らしく。**私たちと一緒に、お子さんにとって本当に大切なことを考えてみませんか?」
お母さん:「今日は本当にありがとうございました。子どもと向き合う気持ちが楽になりました。」
田村さん:「それは本当に良かったです。いつでもお気軽にご相談くださいね。」
さいたま市・浦和・与野・大宮エリアの皆さんへ
私たちFabriCoは、「学校以外の選択肢を作る」という理念のもと、長年子どもたちの支援をしてきました。
不登校は決して「問題」ではありません。それは、お子さんが「このままではつらい」というサインを出してくれているのかもしれません。大切なのは、そのサインに耳を傾けて、お子さんにとって本当に必要なことは何かを一緒に考えることです。
いろどり学園のような新しい選択肢もあります。障害福祉サービスという専門的な支援もあります。どれが正解ということはありません。大切なのは、お子さん一人ひとりに合った道を見つけることです。
浦和区にある私たちの相談支援事業所では、与野駅から歩いて7分、さいたま新都心駅からも歩いて8分の場所で、皆さんのご相談をお待ちしています。
「不登校って、本当に問題なの?」 「学校に行かせることを急いだ方がいいの?」 「この子にとって、何が一番大切なの?」
そんな疑問や悩みがあったら、一人で抱え込まずにご相談ください。お子さんの笑顔と、ご家族の安心のために、私たちと一緒にじっくり考えていきましょう。
お問い合わせ・ご相談はこちら
FabriCo 相談支援事業所
- 施設の詳しい情報: https://fabrico.fun
- 相談支援について: https://fabrico.fun/consultation/
- 場所: さいたま市浦和区上木崎1-7-1 近代模型ビル2・3階
- 相談日: 毎週月曜日 10時~17時
- アクセス: JR与野駅から歩いて7分、さいたま新都心駅から歩いて8分
いろどり学園について詳しく知りたい方
- さいたま市教育委員会事務局総合教育相談室
- 電話: 048-688-1453(平日9:00~17:00)
お子さんのペースを大切に。焦らず、じっくり、一緒に考えませんか?まずはお気軽にご相談ください。