きょうだい児のケアと家族支援|相談支援事業所ができること

この記事でわかること

  • 「きょうだい児」が抱えやすい気持ちと心理的負担
  • 保護者自身のメンタルケアの重要性
  • 相談支援事業所が家族全体をどう支えるか
  • 放課後等デイサービスが家族にもたらす効果
  • 家族全員が笑顔でいるための支援の形

「この子のことばかりで、上の子に申し訳ない」

発達に特性のあるお子さまを育てていると、どうしてもそのお子さまに手がかかります。

通院、療育、学校との面談、放デイの送迎…。気がつけば、毎日がそのお子さま中心に回っている。

そんなとき、ふと思うのです。

「上の子(下の子)のこと、ちゃんと見てあげられているかな」 「あの子にも寂しい思いをさせているんじゃないか」 「きょうだいなんだから、と我慢させてしまっている」

そして、親御さん自身も疲れ果てている。

「誰かに話を聞いてほしいけど、どこに相談すればいいかわからない」 「自分のことは後回し。そんな余裕なんてない」

この記事は、そんな親御さんに向けて書きました。

発達支援は、本人だけのものではありません。家族全体を支えることが、本当の支援です。


目次

  1. 「きょうだい児」という存在
  2. きょうだい児が抱えやすい気持ち
  3. 保護者自身のメンタルケア
  4. 相談支援事業所が家族を支える仕組み
  5. 放課後等デイサービスが家族にもたらす効果
  6. 家族全員が笑顔でいるために
  7. よくある質問(FAQ)

「きょうだい児」という存在

「きょうだい児」とは、障害や病気のある子どもの兄弟姉妹のことを指す言葉です。

用語意味
きょうだい児障害・病気のある子の兄弟姉妹
ヤングケアラー家族のケアを担う18歳未満の子ども

きょうだい児は、幼い頃から「障害のある兄弟姉妹がいる家庭」で育ちます。それ自体が悪いことではありません。でも、特有の経験や感情を持ちやすいことは、知っておいてほしいのです。

きょうだい児は「見えにくい存在」

発達支援の現場では、どうしても「本人」に注目が集まります。保護者との面談でも、話題の中心は本人のこと。きょうだいの話が出ることは、あまりありません。

でも、きょうだい児も家族の一員として、様々な影響を受けています。

「見えにくい」からこそ、意識的に目を向ける必要があるのです。


きょうだい児が抱えやすい気持ち

きょうだい児が抱える気持ちは、年齢や性格、家庭環境によって様々です。ここでは、よく聞かれる声をご紹介します。

①我慢・遠慮

「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」 「あの子の方が大変だから」

こうした言葉を繰り返し聞くうちに、自分の気持ちを言えなくなることがあります。

きょうだい児の心の声
「本当はもっとお母さんに甘えたい」
「自分もかまってほしいけど、言えない」
「わがままを言ったら迷惑をかける」

②複雑な感情

きょうだいに対して、愛情と同時に複雑な感情を抱くことがあります。

きょうだい児の心の声
「大好きだけど、ときどき嫌いになる」
「いなければいいのに、と思ってしまう自分が嫌だ」
「こんなことを思う自分は悪い子だ」

こうした感情は自然なものです。でも、「こんなこと思っちゃいけない」と自分を責めてしまうことも少なくありません。

③過剰な責任感

「自分がしっかりしなきゃ」 「親を助けなきゃ」

こうした責任感から、年齢以上の役割を引き受けてしまうことがあります。

きょうだい児の心の声
「きょうだいの面倒を見るのは自分の仕事」
「お母さんが大変そうだから、手伝わなきゃ」
「自分が頑張れば、家族がうまくいく」

④将来への不安

成長するにつれ、将来のことを考え始めるきょうだい児もいます。

きょうだい児の心の声
「親がいなくなったら、自分が面倒を見るの?」
「結婚するとき、相手にどう説明すればいい?」
「自分の人生は、ずっときょうだいと一緒?」

保護者自身のメンタルケア

きょうだい児のケアを考えるとき、忘れてはならないのが保護者自身のメンタルケアです。

親御さんが抱える負担

発達に特性のあるお子さまを育てる親御さんは、様々な負担を抱えています。

負担の種類
時間的負担通院、療育、学校対応、書類手続き
身体的負担睡眠不足、送迎の疲労、付き添い
精神的負担将来への不安、周囲の理解不足、孤独感
経済的負担療育費用、仕事との両立の難しさ

「自分のことは後回し」になりがち

多くの親御さんが、自分のケアを後回しにしています。

「子どものことで精一杯。自分のことなんて考える余裕がない」 「悩みを話す相手がいない」 「弱音を吐いたら、親失格と思われそう」

でも、親御さんが疲弊してしまったら、家族全体が立ち行かなくなります

自分を大切にすることは、わがままではありません。家族を守るために必要なことです。

親御さん自身の「相談先」を持つ

子どもの相談先はあっても、親御さん自身の相談先がないケースは多いです。

相談先の例特徴
相談支援事業所福祉サービス全般の相談、家族の困りごとも対応
ペアレントメンター同じ経験を持つ先輩保護者による相談
親の会・家族会同じ立場の親同士のつながり
カウンセリング専門家による心理的サポート

相談支援事業所が家族を支える仕組み

相談支援事業所は、放課後等デイサービスなどの福祉サービスを利用するための「入口」として知られています。でも、その役割は「サービス等利用計画を作る」だけではありません。

家族全体の困りごとを受け止め、必要な支援につなげる。

それが、相談支援事業所の本来の役割です。

家族を支える5つの機能

①本人の支援ニーズを整理する

お子さま本人にとって、どんな支援が必要かを一緒に考えます。

できること
発達の特性や困りごとの整理
適切な福祉サービスの提案
サービス等利用計画の作成

②きょうだい児の存在に目を向ける

面談の中で、きょうだいの様子についても確認します。

確認すること
きょうだいの年齢、学校生活の様子
家庭内での役割、負担感
きょうだい自身の困りごと

きょうだい児に直接的な支援が必要な場合は、適切な相談先を紹介します。

③保護者の負担を軽減する

親御さんの負担を把握し、軽減するための方法を一緒に考えます。

できること
利用できる福祉サービスの情報提供
レスパイト(一時的な休息)の提案
家事・育児支援サービスの紹介

④家族全体のバランスを見る

「本人にとって最善」だけでなく、「家族全体にとってのバランス」を意識します。

視点の例
本人の支援を増やすと、きょうだいの時間が減らないか
親御さんの負担が集中していないか
家族それぞれの「居場所」があるか

⑤長期的に伴走する

相談支援は、一度で終わりではありません。定期的なモニタリングを通じて、家族の状況を継続的に把握します。

モニタリングで確認すること
本人の支援は順調か
家族の状況に変化はないか
新たな困りごとは発生していないか

放課後等デイサービスが家族にもたらす効果

放課後等デイサービスは、本人のためのサービスです。でも、その効果は家族全体に波及します。

本人への効果

効果
学校でも家庭でもない「第三の居場所」
社会性やコミュニケーション力の向上
自己肯定感の育成
余暇活動の充実

きょうだい児への効果

効果
本人が放デイにいる間、親を独占できる時間ができる
きょうだいだけで過ごす習い事や友達との時間が確保できる
「自分も大切にされている」と感じられる

保護者への効果

効果
一人の時間、夫婦の時間が確保できる
仕事との両立がしやすくなる
専門家に相談できる安心感
同じ立場の親御さんとのつながり

家族全体への効果

効果
家族それぞれの「自分の時間」が生まれる
本人のことで家庭内の緊張が緩和される
家族で過ごす時間の質が向上する

「本人を預ける」のではなく、「家族全員のための時間を作る」

そう考えると、放課後等デイサービスの意味が変わってきませんか?


家族全員が笑顔でいるために

「本人のため」だけではなく

発達支援というと、どうしても「本人のため」という視点が中心になります。もちろん、それは大切なことです。

でも、家族全員が笑顔でいられることが、本人にとっても最高の環境なのです。

親御さんがいつも疲れていたら、子どもはそれを感じ取ります。 きょうだいが我慢ばかりしていたら、家庭の空気は重くなります。

家族それぞれが自分の時間を持ち、自分の人生を大切にできる。その上で、お互いを支え合える。

それが、本当の意味での「家族支援」だと、私たちは考えています。

きょうだい児へのメッセージ

もしこの記事を読んでいるきょうだい児がいたら、伝えたいことがあります。

あなたの気持ちは、間違っていません。

「嫌だな」と思うこと、「羨ましいな」と思うこと、「もっとかまってほしい」と思うこと。それは全部、自然な気持ちです。

あなたは「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」である前に、一人の人間です。自分の気持ちを大切にしていいし、誰かに話していいのです。

保護者へのメッセージ

そして、この記事を読んでいる親御さんへ。

あなたは、十分頑張っています。

「もっとこうすれば」「あのときああしていれば」と自分を責めることがあるかもしれません。でも、今こうして情報を集め、子どものことを考えている。それだけで、あなたは素晴らしい親御さんです。

一人で抱え込まないでください。頼れる場所を見つけてください。あなたが倒れたら、誰が家族を支えるのですか。

自分を大切にすることは、家族を大切にすることです。


よくある質問(FAQ)

Q1. きょうだい児の相談も、相談支援事業所でできますか?

A. はい、家族全体の困りごととしてお話しいただけます。きょうだい児自身に支援が必要な場合は、適切な相談先をご紹介します。

Q2. きょうだい児向けのプログラムはありますか?

A. FabriCoでは、きょうだい児専用のプログラムは現在ありませんが、ご家族の状況に応じた相談には対応しています。さいたま市内には、きょうだい児の会や交流イベントを行っている団体もあります。

Q3. 親自身のカウンセリングを受けたいのですが。

A. 相談支援事業所から、カウンセリングを行っている機関をご紹介することができます。また、さいたま市の相談窓口や、発達障害者支援センターでも相談を受け付けています。

Q4. きょうだいも一緒に放デイの見学に連れて行ってもいいですか?

A. はい、大歓迎です。きょうだいが「お兄ちゃん(お姉ちゃん)が通う場所」を知ることで、理解が深まることもあります。

Q5. 夫婦で意見が合わず、家庭内がギクシャクしています。

A. お子さまの発達に関して、ご夫婦で意見が異なることは珍しくありません。相談支援事業所では、ご両親それぞれのお話を聞き、一緒に方向性を考えることもできます。

Q6. 祖父母に理解してもらえず、辛いです。

A. 世代間のギャップで理解を得にくいケースは多いです。必要に応じて、祖父母向けの説明資料をご用意したり、一緒に説明の場を設けたりすることも可能です。ご相談ください。

Q7. 自分の時間なんて持てる余裕がありません。

A. 放課後等デイサービスや日中一時支援などを利用することで、少しずつ「自分の時間」を確保することができます。まずは週1回からでも、試してみませんか。

Q8. きょうだい児が「自分もあそこに通いたい」と言っています。

A. 放課後等デイサービスは、受給者証を持つお子さまが対象です。きょうだい児が利用することは難しいですが、「通いたい」という気持ちの背景を一緒に考えてみましょう。寂しさの表れかもしれません。


FabriCoは、家族全体を見つめます

私たちFabriCo(ファブリコ)は、さいたま市で放課後等デイサービス・児童発達支援・相談支援を運営しています。

本人だけでなく、家族全体を支える。

それが、私たちの支援の根底にある考え方です。

相談支援事業所として

できること
本人の支援計画の作成
家族の困りごとの相談
きょうだい児・保護者の状況確認
必要な支援機関への橋渡し

放課後等デイサービスとして

できること
本人の発達支援
家族に「余白の時間」を提供
保護者同士のつながりづくり
学校・家庭との連携

保育所等訪問支援として(2025年11月開始)

できること
園・学校での集団生活のサポート
先生への助言・連携
家庭・学校・放デイをつなぐ

一人で抱え込まないでください

「家族のことは、家族で解決しなければ」

そう思っていませんか?

でも、頼れる場所があるなら、頼っていいのです。

相談することは、弱さではありません。家族を守るための、賢い選択です。

本人のこと、きょうだいのこと、自分自身のこと。どんなことでも、まずは話してみてください。

FabriCoの相談支援は、そのための場所です。


📞 ご相談・お問い合わせ

FabriCo(ファブリコ)相談支援事業所 さいたま市で、家族全体を支える相談支援を行っています。

「本人のことだけでなく、家族全体のことを相談したい」 「きょうだいのことが気になっている」 「自分自身が疲れている」

どんなご相談でも、お気軽にお問い合わせください。


この記事は2025年2月時点の情報に基づいています。ご紹介した支援機関・サービスの詳細は、直接お問い合わせください。

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